十番目

「やっと戻ってきましたか」
「待ちくたびれたZE」
ももか先輩と美野里先輩は美味しそうに缶ジュースを飲んでいる…
あれ…?待ちくたびれたって…美味しそうにジュース飲んで休憩している
あんたたちは!!!!と叫びそうになったが心に閉まった
「はい、三浦君たちも…」
「ありがとうございます」
「どうも…」
「ありがと」
3人は持ってきた材料を床に置くと一斉にのどを潤し…た…?
「うわぁー!何だこれ!」
「まずい!」
「ごほ!ごほ!」
3人は缶を落として、むせた…
「ご、ごめんなさい…3人ともまだ未成年でしたよね・・・」
「どうした?ももか」
兄貴こと自治会の会長は見た目に似合わぬ仁王立ちでおそらく酒を飲む
「なんだ、そんな事か…おらよ!」
「あ、ど、どうも・・・」
俺は会長から投げられた缶を受け取る…ふーう、どうやら普通のフルーツジュースだ
「とりあえず・・・飲み終わったら作業再開だ…おい、鈴読みおわったら貸せよ、そのジャン○」
「分かりました、とりあえず5回ほど読んだら貸します」
「……冗談・・・だよな?」
会長の問いに鈴先輩は「冗談じゃありませんよ」とニッコリする
「はぁー」
会長は肩をならすように腕を振ると「もう一頑張りするか!」と作業に戻った


こんな事でいいのか…俺の期待を膨らませた学園生活がこれで…
さすが俺だ…自分自身でも驚くほど期待がみのらねーぜ!


「今日は早く帰るわよ!」
百合は小さい身長で目一杯背伸びをし、勇次に負けないようにする
「…引き受けた以上俺は最後までやるがな…」
「グゥ…勝手にしろ!」
ふわふわロングをなびかせ百合は来た道をまっすぐ帰る

「お姉ちゃん?…こんなところで寝てると風邪引くよ・・・」
「Zzz・・・」
「まったく・・・」
その少女は、姉と呼んだ少女を起こそうとする
「・・・ん・・・レナか?・・・わざわざこんなとこに来たのか?」
「そうだよ・・・昨日帰ってこないし・・・いくら気温が高くてもおなか出して寝てたら風邪引くよ」
「・・・そ、そうだな・・・」
姉・・・もとい兄は起き上がるとまず・・・
「起きろ鈴!」
「は、はい!」
鈴は兄貴に蹴られ、びっくりしたように飛び上がる
「みんな!起きろ!」
「お、起きてくださーい・・・」
その声に俺(神)、美野里先輩、ももか先輩が目を覚ます
「・・・おはようございます・・・」
「グッドモーニング・・・」
「おはようございますです」
俺は眠い目をこすりながら会長を見る、頭を抱えてふらふらしている
その時思った・・・あんな時間に酒を飲んだ会長がこうなると言う事は・・・
やっぱりだ・・・
「あったまいてぇー」
「私は元気だよ」
「私も頭が少し・・・」
そう・・・あの夜の惨劇は終わらなかった・・・
だがこれを語るのはまた次の会で・・・

「レナぁ!水」
「はいはい・・・」
レナ・・・レナ、レナ・・・はてどこかで?
「三浦君・・・私もお水・・・」
「分かりました・・・」
俺は立ち上がりふらふらな足取りで前の少女についていく

キュッキュッ・・・静かな廊下に蛇口をひねる音が響く
「…いつも、姉がお世話になってます・・・」
隣で水を入れている少女がそんな事を言った…俺は間の抜けた顔で
「こちらこそ…」と適当に言った
少女は自己紹介をした・・・鵜飼レナ・・・どこかで聞いたような・・・
あれでも・・・会長の苗字は・・・水街で・・・
うかい!?れな!?
「・・・よろしく」
「こ、こちらこそよろしく・・・ぼ、僕は三浦神と言いまして・・・」
「知ってるよ・・・お姉ちゃんが時々言ってた・・・変な新米が入ったって・・・」
ピキ・・・さーて、今回ばかりは優しいこの神様でも怒るとこだが・・・レナちゃんに免じて許そう
「へ、へぇー意外だな・・・あの会長が僕の話をするなんて・・・」
「そうでもないよ・・・お姉ちゃん、結構真面目で固い人みたいなイメージあるけど、私なんかよりずぅぅーと頭よくて、すごぉぉぉくかっこよくて、それで・・・それで・・・」
ポロ・・・ポロ・・・
「え?」
「あれ、おかしいな・・・おねえちゃんの話をすると・・・いつも・・・いつも・・・」
その時俺は、なぜだか・・・立ててはいけないフラグを立ててしまったような・・・気がした

  • 最終更新:2009-10-23 23:01:35

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